Message from Steve Pezman

THE SURFER’S JOURNAL(以下TSJ)日本版創刊は、私と妻デビーの大きな目標になっていました。単にビジネスという意味だけではなく、波に乗るという行為を芸術的に考察するというTSJ独自の視点が、日本のサーファーたちにも十分に受け入れられるだろうという確信に裏づけられた目標でした。今やスピリチュアルな面からサーフィン体験を捉えるという考え方は、多くの日本のサーファーたちにも十分に浸透してきていると感じています。

TSJは、長い人生の中で純粋にサーフィンを続けるサーファーたちのために、読者の立場に立って精神性と知性を探求してきた雑誌です。ここ数年、日本にマーケットがあるのか否かを日本のサーフィン界の友人たちに訊ねてきました。しかしいつも答えは「日本のサーファーたちはまだ若すぎる。」という意見が大半でした。その多勢の意見とは逆に、米「サーファー」誌の創始者ジョン・セバーソンは、「サーファーたち(読者)のインテリジェンスを絶対に甘く見てはいけない」と私にアドバイスしてくれていました。「教育があり経験があるサーファーたちに、まずメッセージを送る事、そうすればいずれそこに到達していない人たちもメッセージを理解し更なる高みに上れるはずだ。」と。

サーフィンは波に乗るという行為ひとつにも、さまざまな個々のセンス、様々なアイデンティティ、連帯感が存在します。ある者にとっては遊び、ある者にとっては崇高な精神的経験。また、自らの生きる道と位置づける者もいます。しかし、私たちはサーファーとい うひとつの旗のもとに、他の人たちとは明らかに違う確かな存在感で定義されています。

TSJは、これまでそのサーファーの視点から数々の真実を紹介してきましたが、その数々の真実は、実はカリフォルニアのサーファーの眼と感性で捉えたサーフィン観によるものです。国際的に活躍する卓越したライターや写真家、アーティストたちの経験が生んだ発想や数々の冒険を、独自の視点から紹介し続けてきたのです。

繊細かつエキセントリックなフィルターを通して、これからもTSJらしい活動を継続していこうと考えています。私たちの望みは、私たちが編集するTSJの誌面を日本のサーファーたちに存分に楽しんで頂き、読者ひとりひとりに豊かな人生を送って頂く事なのです。